会長 川田一光

 青果卸売会社の経営動向を見ますと、一昨年度、昨年度と好調な業績を上げてきましたが、今年度は当初から単価安が続き、一転して厳しい状況となりました。秋口以降には、価格も回復してきましたが、不振な時期が長引いたため、年度を通じた業績には、不安を感じざるを得ません。皆様には、気苦労が多い新年となったものとお察ししますが、商材の開拓、販路の新規拡大、働き方の見直しを通じた経費削減など従来以上の経営改善、企業体質の強靱化で、この難局を乗り切って頂くことを期待致しております。
 現下の我が国経済は、政府・日銀のデフレ脱却のための諸施策に加え、世界的な景気浮揚の恩恵も受け、緩やかに持ち直しているとのことですが、青果物のように頻繁に購入する商品に対する消費者のデフレマインドは、そう簡単に払拭できるものではなく、青果業界にとっては、まだまだ先の見通しの立たない状況が続くものと思われます。
 また、青果物産地の脆弱化、流通経路の多様化による競争の激化など、青果卸売市場の商いそのものの基盤を毀損するような実態も進みつつあります。
 しかしながら、現在でも、国産生鮮青果物の9割かたは、青果卸売市場を経由して流通しており、メインルートの位置付けに些かの揺るぎもありません。これは、卸売市場の有する機能が掛け替えのないものであることを如実に示すものです。こうした重要な役割を損なうことなく社会貢献していくことが、我々の使命であると日々感じております。
 他方、行政に目を向けますと、昨年は、「農業競争力強化プログラム」に端を発した流通・加工の業界構造の見直しが大きな政治問題として提起され、その中で、卸売市場制度の見直しにつき、政府・与党・各業界を巻き込んだ論争が繰り広げられました。その過程で
は、卸売市場不要論のような暴論が罷り通る場面もあり、そのなりゆきに大変な危惧を覚えたところであります。私どもも、業界を挙げて、卸売市場制度の根幹の堅持を訴え、変えるべきは変えるとしても、卸売市場の社会的機能を損壊するような対応は決してあってはならないことを強く主張致して参りました。この結果、市場関係の皆様の御協力も得て、また、良識ある国会議員の方々のお力添えもあって、結果的には、卸売市場制度の根幹が維持される法改正となり、ひと安堵しております。
 ただ、改正法の骨子は見えたと言っても、今後、これが具体化される中で、実業に携わる我々にとって対応が困難な仕組みが制度化されることがあってはならないと考えております。このため、引き続き制度改正の行方を注視し、必要な発言・要請を国に対して行っ
ていくこととしております。この問題をはじめとして、我々、青果卸売業界は、卸売市場の発展に今後とも精一杯尽力していく所存であります。関係の皆様の格段のご理解とご支援を賜りますようお願い致すところであります。

 

平成30年年頭所感より抜粋