会長 川田一光
本年は、令和2年6月に施行された卸売市場法の抜本改正から5年を経過する節目の年です。振り返りますと、大幅な規制緩和を基本としつつも各市場の実態を踏まえてマチマチとなった新ルールが施行・定着していく中で、卸売業者等の統合・連携や物流問題への対応を含め様々な動きがみられましたが、今後とも、大きな時代の流れを見据え、新しいビジネスと市場機能の強化に向け、関係機関と連携しつつ取り組んでいきたいと考えております。
さて、課題山積の当業界ですが、その第1は、物流問題です。当協会としては、一昨年末に作成した自主行動計画に基づき、荷待ち・荷役作業時間の削減等に向けて可能な限りの取組みを行っておりますが、2024年4月から9ヶ月を経過し、パレットの回収・管理の問題、荷下ろし作業の問題等当業界の負担が更に増える傾向にあります。特定の分野に負担を押し付けるような部分最適の考え方ではこの問題は解決しないというスタンスの下、今後とも産地や開設者とも連携して、行政側の全面的な支援を前提に、できることに取り組んでいきたいと考えております。
課題の第2は先般の基本法の改正に関連して、合理的な費用を考慮する価格形成の仕組みについて、まもなく招集される通常国会に法案を提出すべく検討が最終段階を迎えております。現在も集約化により発言権を強める産地から強い価格要請を受ける一方、量販店等の強力なバイイングパワーの下で形成される相場との間に生じる価格のギャップを中間流通業者である私共が被っている実態がありますが、新たな制度の下でもこうしたことが続くことのないよう、また、市場機能の活性化に資する仕組みとなるよう、重大な関心を持って検討に参画したいと考えております。
いずれにしましても、生産の脆弱化が懸念される産地を販売面から支えられるのは、国産青果物の約8割を取扱う卸売市場以外にないと確信しています。集荷・分荷、価格形成、代金決済、情報受発信という卸売市場固有の機能をしっかり発揮することにより、産地を支援してまいる所存ですので、関係の皆様のご指導・ご鞭撻を賜りますよう切にお願い申し上げます。
令和7年年頭所感より抜粋